2013年7月9日火曜日

スラジュさん事件をないがしろにした大量送還の決行

7月6日(土)にチャーター機での強制送還が行われました。収容中のフィリピン人75名が一斉に本国フィリピンに送還されました。
皆さんご承知の通り、今から約3年3か月前の2010年3月22日に、当団体が支援していたガーナ国籍のアブバカール アウドゥ スラジュさんが送還中に死亡し、いったん強制送還は中止されていました。しかしここにきて、チャーター機での大量送還が決行されたことを聞き、強い憤りを感じています。

スラジュさん事件で書類送検されていた入管職員は昨年7月に不起訴となり、法務省は同年11月に入管職員の制圧行為は適法であったと公式に見解を出しましたが、まだ国と、同行した入管職員を被告とした国家賠償請求訴訟が続けられています。この裁判の中で、入管の残酷な送還実態などを映したビデオが出されたりと、事件の真相究明が途中の状況です。入管の送還方法に問題があったことが問われている裁判が続行中にもかかわらず、大量送還を決行する無責任な入管・法務省・国のやり方に怒りを禁じえません。

 
 
昨日、スラジュさんの奥様と大量送還が決行された話をしました。「夫の死が犬死だった、悔しい」と奥様は語っていました。現在奥様などが原告となり国賠訴訟をしているのは、今後スラジュ事件と同じようなことが再度起こらないように真相究明していかねばという奥様の強いお気持ちがあります。奥様は日々この気持ちと、裁判を続けることによる精神的ストレスの間で悩んでいます。そこまでして訴訟を続けているにも関わらず、国はこの事件をないがしろにし、再び危険な送還を再開しました。

スラジュ事件の次回国賠訴訟期日は、9月13日(金)10時~東京地裁706法廷です。スラジュさんの送還に同行していた入管職員への尋問が行われます。今回の大量送還、現時点での送還再開がおかしいと思われる方は是非傍聴のご協力をお願いいたします。この裁判に勝ち、現行の送還実態を改めることが必要です。スラジュさんについで第二の被害者を出す前に国は改めるべきです。